みなさんは何を基準にしてタイヤのメーカーを選択していますか?
メーカーごとにそのタイヤの特徴は異なります。タイヤを購入する際は、自分のニーズに合ったメーカーの製品を選ぶことが望ましいと言えます。
タイヤ選びの時は、当然各メーカーのサイトやカタログを参照しますよね。みなさんはそこで、〝TPI〟や〝コンパウンド〟という言葉を目にしたことはありませんか?
実は、この2つがタイヤの特徴を決定づける重要な用語なのです。これを理解することで、そのタイヤが何に特化していて、どんなシチュエーションに向いているのかを見極める指標とすることができます。
今回は、タイヤの特徴を決定づける〝TPI〟と〝コンパウンド〟について解説します。これを理解することで、あなたのタイヤ選びの幅が広がること間違いなしです。
タイヤを選ぶ時、知っておくと便利な用語
トレッド・ビード・ケーシング
タイヤの構造は、トレッド・ビード・ケーシングのそれぞれに分けることができます。
・〝トレッド〟
トレッドとは、タイヤの外側にあるゴムの部分に当たります。タイヤと地面が接地する部分であり、このゴムの素材が、硬い・柔らかい・グリップがいいなど、そのタイヤの特徴を決定づけています。
・〝ビード〟
ビードとは、タイヤをリムにはめた時外れないように引っかかる部分です。空気を入れて圧をかけることでビードが広がり、リムの内側に密着することでタイヤが外れなくなります。
チューブレスの場合、タイヤに直接入れた空気が外に漏れないようにする役割も担います。
・〝ケーシング〟
ケーシングとは、タイヤの内側の部分に当たり、そこに編み込まれた繊維の束を言います。この繊維の集まりがタイヤの形状を保持する役割を担っています。タイヤの耐久性などに大きく関わる部分です。
TPI
TPIとは、ケーシングの1インチあたり何本の繊維が束ねられているかを数値として表したものです。例えば、ケーシング1インチあたりの繊維量が110本だった場合、110TPIと表記されます。
このTPIの数値が高いか低いかによって、そのタイヤの走行性能や耐久性をある程度判断することができます。
TPI値が高いということは、タイヤの形状保持の役割を担っているケーシングの繊維1本1本が細いということです。よって、タイヤはしなやかでより軽量なものとなります。
しなやかなタイヤはそれだけ路面に食いつくため、グリップ力が高くなります。また、路面の凹凸に対して柔軟にタイヤが変形してくれることで、振動吸収性が高く乗り心地が良くなります。凹凸に対して柔軟に変形するタイヤはインピーダンスによるロスの軽減が見込めるので、結果的に転がり抵抗が小さくなるとも言えるのです。
よって、TPI値が高ければその分タイヤの走行性能は高いと見てよいでしょう。一方、繊維が細いということで、TPI値が高いタイヤは耐久性能が低くなるということになります。
TPI値が低いと、その分ケーシングの繊維1本1本は太くなります。よって、タイヤは比較的硬くなり、且つ耐久性が向上します。
繊維が太い分タイヤが変形しづらくなるため、乗り心地はやや硬めになるでしょう。走行性能はTPI値が低いほど落ちていく傾向にありますが、耐久性はTPI値が高いものよりも優れています。
トレーニング時での使用など耐久性を重視する場合は、TPI値が高すぎないタイヤを選ぶと良いでしょう。
コンパウンド
コンパウンドとは、タイヤのトレッドに当たる部分のゴムの素材を表しています。この「コンパウンド=ゴムの素材」によって、タイヤの特徴が決定づけられています。
例えばコンパウンドが硬いものであれば、タイヤは変形しにくくなり、転がり抵抗が小さくなります。一方、柔らかいものであれば、グリップ力が向上し、且つ乗り心地が良くなります。
TPI値が低いタイヤでも、コンパウンドを柔らかいものにすることで乗り心地が良くなり、グリップ力が上がります。よって、耐久性能・グリップ力・乗り心地のバランスが実現するのです。
タイヤを選ぶときは、TPI値とコンパウンドの両方を確かめて、タイヤの特徴を見極めることが必要だと言えます。
上級グレードのタイヤであれば、直進時のタイヤの接地部分とコーナー時のタイヤの接地部分で、それぞれ異なるコンパウンドを使用しているものが多くあります。2種類、3種類のコンパウンドを1つのタイヤに使用することで、よりライダーのニーズに合わせた性能を引き出すことを可能にしているのです。
まとめ
- タイヤの構造はそれぞれ、トレッド・ビード・ケーシングに分けられる。
- TPI値とはケーシング1インチ当たり何本の繊維が束ねられているかを数値化したもの。
- TPIが高ければタイヤはしなやかとなり、路面に食いつきやすく走行性能が良い。
- TPIが低ければタイヤは硬くなり、比較的耐久性が向上する。
- コンパウンドとはトレッド部分に当たるゴムの素材を表している。
- コンパウンドが硬いゴムであれば、タイヤは変形しにくく転がり抵抗が小さくなる。
- コンパウンドが柔らかいゴムであれば、タイヤのグリップ力が向上し乗り心地もよくなる。
- メーカーが定めたTPIとコンパウンドを確認することで、そのタイヤの特徴を見極めることができる。
以上、タイヤの特徴を決定づけるTPIとコンパウンドという用語について解説しました。これを頭に入れておけば、タイヤ選びの幅が広がります。
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