【ロードバイク・用語】よく耳にする〝転がり抵抗〟という言葉―結局どういうことなの?

みなさんは〝転がり抵抗〟という言葉についてご存じですか?ロードバイクに関する記事などではよく見かける言葉ではないでしょうか。

例えば、「このタイヤは〝転がり抵抗〟が小さいので速い」という説明を見れば、何となくそのタイヤが良いものだということは分かるでしょう。しかし、実際何故そのタイヤが速くて良いものなのか、具体的に説明することができますか?

ロードバイクに関する専門的な用語を理解することで、その機材に対する理解が深まります。実際に自分で選んで製品を購入する際の指標となるでしょう。

今回は、ロードバイクの用語としてよく耳にする〝転がり抵抗〟についての記事です。〝転がり抵抗〟とは何か、そして、その抵抗を生み出す原因に関する2つの用語を解説します。これを理解すれば、あなたの機材選びはより専門的になり、さらにロードバイク通になること間違いなしです。

〝転がり抵抗〟とは一体何なのか

転がり抵抗とはその名の通り、タイヤが地面を転がって進もうとする時に生じる抵抗のことです。この抵抗が大きいほど、当然自転車は進みにくくなります。

転がり抵抗は主にタイヤで生じるエネルギーロスが原因となって起こるものです。

タイヤ空気圧・素材・性能がこの抵抗に大きく関わっており、より速さを求める上で考えなければならない問題です。

以下では、転がり抵抗の原因に関係する2つの用語を解説したいと思います。

ヒステリシスロス

転がり抵抗の1つの原因は、タイヤの変形によって生じるエネルギーロスです。タイヤが地面接地し、そこにライダーの体重がかかることでタイヤは変形します。タイヤが変形する際に熱が発生し、それがエネルギーロスに繋がります。

要するに、タイヤが進もうとする運動エネルギーが、タイヤの変形によって発生する熱となって放出されることで、その分エネルギーロスが生じてしまうのです。

空気が極端に抜けたタイヤで走行する時の進みにくさは、誰もが想像できるはずです。

このエネルギーロスのことを「ヒステリシスロス」と呼びます。

しかし、転がり抵抗を小さくするためには、単純に空気圧を高くしたり、硬いタイヤを使用すれば良いというわけではありません。

インピーダンスによるロス

転がり抵抗のもう1つの原因は、インピーダンスによるエネルギーロスです。

インピーダンスとは、タイヤが振動・衝撃を吸収しきれなかったために生じるエネルギーロスのことを指します。

実験室のローラーのように真っ平の路面を想定するのであれば、空気圧が高ければ高いほどタイヤの変形が少なく、転がり抵抗は小さくなると言えるでしょう。

しかし、実際の路面には必ず凹凸があり、その路面状況は常に変化しています。

タイヤの空気圧が高ければ高いほど、その振動吸収性能は低下します。故に、空気圧が高すぎると路面凹凸による衝撃を吸収しきれず、タイヤ自身が振動してしまい、その分パワーロスを引き起こしてしまうのです。

パリ・ルーペなどの過酷な石畳のレースは見ているだけでも、選手が相当なパワーでペダルを踏んでいることが分かるでしょう。路面の凹凸が激しい分、振動・衝撃による抵抗は大きなものとなります。よって、その路面を進むためにはより多くのパワーが必要となるのです。

例えば、タイヤ選びの参考に―

製品としてタイヤを開発する場合、如何にこの転がり抵抗を小さくするかがメーカーにとって重要となります。

例えば、タイヤの変形によるヒステリシスロスを抑えるために、コンパウンドのゴムを硬いものにするなどの工夫があります。

また、ケーシングの繊維をしなやかなものにすることで、路面の凹凸に合わせて素早く変形してインピーダンスロスを抑える工夫を施すタイヤもあります。パリ・ルーベなどを想定して、石畳など荒れた路面に特化したタイヤのモデルもメーカーによっては販売されています。

メーカーそれぞれで、コースやライダーのニーズを想定したタイヤの工夫が施されているのです。

上記で紹介した転がり抵抗の2つの原因を下に、メーカーのラインナップから自分に合ったタイヤ選びを考えることができます。

バンク広くて比較的キレイな国道をスイスイ走りたい時は、硬めの素材で変形しにくいタイヤをチョイス。

逆に、峠などを含む路面の凹凸がある道長距離のライドの際には、しなやかで振動吸収性の良いタイヤをチョイス。

このように、サイクリングシーンやコースに合わせてタイヤ選びを考えるのも楽しいと思います。是非参考にしてみて下さい。

まとめ

  • 〝転がり抵抗〟とはタイヤが地面を転がって進むときに生じる抵抗。抵抗が大きいことで、自転車がその分進みにくくなる。
  • 〝転がり抵抗〟の原因は主に2つ。
    • 1, タイヤが変形することによるエネルギーロス=〝ヒステリシスロス〟
    • 2, 路面の凹凸による振動・衝撃によるエネルギーロス=〝インピーダンスロス〟
  • 〝転がり抵抗〟の2つの原因を踏まえて、自分のサイクリングシーンやコースに合わせたタイヤ選びをしてみよう。

以上、ロードバイク用語でよく耳にする〝転がり抵抗〟について解説しました。用語の意味を理解することで、機材選びやセッティングにより専門性を持たせることができます。是非参考にしてください。

ちなみに私のおすすめタイヤはコレ!

コンチネンタルGP5000
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Michelin(ミシュラン) Pro4 Service Course V2
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ヴィットリア コルサ
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