タイトルの単語、工学系の人はピン!と来ると思いますが、何のこっちゃ??という方が、多いんじゃないでしょうか??
ロードバイクに乗っていると、色々なデータを取りますよね?
- スピード
- ケイデンス
- 心拍数
- 走行距離
- パワー
- 時間
これらのデータ、あなたの持っている機器に表示されてる数値は本当に正しい数値でしょうか??
多少ズレていても全然問題ないっす!
という方はいいのですが、最近流行りのZWIFTではこの数値の確からしさが話題に上がることが多いので、考え方をシェアさせて頂きますね♪
Contents
なぜ問題になるのか?
例えば、アナタは今、ロードバイクでツーリングしているとします。
メーターを見るとスピードが36km/hと表示されています。
ケイデンスは91rpm 、心拍数は153bpmと表示されています。
しかし、実際には34km/h、89rpm、155bpmかもしれません
機器の精度によって数値がズレるのは当たり前なのですが、これって、実際に困ることってほとんどないんですよね?
しかし、これがe-sportsの世界になると、競技の結果に直結するようになるので問題になるのです。
アナタは40km/hで走っていて、ライバルは41km/hで走っています。
これには計測する機器の誤差が含まれているので、もっと正確な機材、もしくは良い方向に誤差の大きい機材なら、アナタも41km/hで走れているのかもしれません。
この現実を知ってしまうと、俺は本当はもっと速いはずだー!という状況に陥ります。
悲しいことにこれが人間のSAGAなのです。
ZWIFTではパワー(出力)の情報が速さに変換されるので、パワーメーターの精度が重要になります。
ここで、精度を修正する手順として、ゼロ点補正・校正、というものがあります。
全部ひっくるめてキャリブレーションと呼ばれています。(厳密には校正のことをキャリブレーションと言いますが、巷ではどちらもキャリブレーションとして使われています)
ゼロ点補正って?
例えば、アナログ式の体重計があります。ここで何も載せていない時にちゃんとゼロになっているか?
ここがズレることがあるので、これをゼロに戻すことをゼロ点補正と呼びます。
校正って?
70kgの人が、この狂った体重計に乗ると72.1kgとなってしまいます。
ちょっとのズレですが、積み重ねると大きなズレになってしまいますよね?
簡単にまとめると
- スタート位置の修正→ゼロ点補正
- 振れ幅の修正→校正
となります。
パワーメーターの誤差要素
パワーを測るには、トルクと回転数が必要です。
さらに細かくするとトルクとは「力」×「回転軸から作用点までの距離」です。
回転数は時間です。
それぞれで誤差が発生する要因を見ていきます。
トルクの誤差
クランク式の場合、踏み下ろす力×クランク軸からペダル軸までの距離を意味します。
スマートローラーの場合、ハブを回そうとする力×ハブの半径を意味しています。
この、踏み下ろす力やハブを回そうとする力は歪ゲージというもので測定します。
この歪ゲージというものが厄介で、歪ゲージは物の”ゆがみ”を電気的に測ります。
しかし、物体は温度や、取り付け時の締め付けトルクで”事前にゆがんでしまう”ため、温度や取り付けの締め付け軸力が変わると、その都度、ゆがみが変わってしまい、計測時にそのゆがみ分の力が上乗せされてしまうのです。
なので、計測前にこの”ゆがみ分”をリセットしてあげる作業が必要になります。
ちなみに、パイオニアのペダリングモニターは温度によるゆがみを自動で除去する補正機能が搭載されています。
一般的に機材は室温から真冬の冷気、真夏の炎天下に出たとき等、大きく温度変化してしまうと、温度補正が効かないため、数値が狂ってしまいます。
朝と日中で温度が大きく変わる時も温度変化による狂いが発生します。
この狂いはゼロ点補正で修正できます。
ゼロ点補正の方法については各機器の取扱説明書にキャリブレーション方法が載っているので参照してください。
距離の誤差
次に距離に関しては、クランクの長さやハブの半径のことで、基本的に変わることはありませんが、製造時の寸法誤差や、ぶつけてしまったり永久変形させてしまうと狂ってしまいます。
これに関しての修正は、現実的に不可能です。
製造の寸法誤差は計測誤差に直結してしまいます。
ここで、メーカー出荷時に寸法誤差分まで内部プログラムが補正されて出荷されているのか?が気になるところですが、個体差があることを考えると、補正されていないと推測されます。
出荷前にこの補正がされていない場合、個体差として誤差を持ったまま出荷されます。
また、転倒などで変形させてしまった場合、パワーメータとしての機能はしていないと覚悟しましょう。
回転数の誤差
回転数は一秒間に何回転しているか?を表します。
これは時間を測定する精度に依存しているのですが、歪に対して時間の測定は環境による外乱を受けないため、精度が十分に高く、問題になりません。
誤差の要因まとめ
まとめると、歪ゲージに与える環境要因と製造時の誤差が大きいことがわかります。
歪ゲージは機材のゆがみを拾います。
取り付け時の締め付け方、温度が変化すると、数値に誤差が発生します。
これはゼロ点補正で解消できます。
製造時の寸法誤差によるものは、個体差として残ります。
これには校正が必要ですが、現実的に不可能です。
機器の違いによる出力差
最後にクランク式、ハブ式での同時計測において、出力に差があることについての考察です。
まず、ゼロ点補正を同時に行っているか?ここを見落としている方はゼロ点補正をしましょう。
次に機器のサンプリングレートに着目します。
サンプリングレートとは1秒間に何回データを拾えるかです。
1Hzなら1秒間に1回データを拾います。
60Hzなら1秒間に60回データを拾います。
定常状態では1Nの入力に対し、出力も1Nですが、ワット=仕事率となると、ここに時間要素が加わってきます。
一般的に、この領域は過渡領域と呼ばれます。
脚から放たれたパワーは基本的には上下運動で、一定ではなく波のように伝わります。
ケイデンスは90rpmが常用域ですので、左右の脚で考えると、1秒間に約3個の波が入力されます。
波の形をきれいに計測するために、サンプリングレートが十分な能力を備えていないと、波が矩形に近づいて形が崩れてしまいます。
つまり、データを1秒間に何回取得できるか?次第で、きれいにパワーを測定できているかが変わってきます。
また、データの通信方法によってもせっかく拾ったデータを全部送信してくれているのか?部分的に伝えてくれるのか?というところでも変わってきます。
このあたりに関しては、ぱっと見でメーカーカタログでデータは見当たりませんでした。
言ってしまうと、メーカーや機器での差がきっとあるのですが、これくらい違う!というデータが集められませんでした。すいません。(知ってる方は教えてください)
ちなみに、ANT+とBluetoothを比べると、Bluetoothの方がデータ通信量に関しては優秀です。ANT+でデータ送信している機器は、おそらくジグザグしたデータを平均化していると思われます。
まとめ
基本的にゼロ点の補正はできても、校正はできない機器がほとんどです。
2つの機器を同時測定して、出力を上げていったときに
- 差がどんどん大きくなっていく→校正が必要
- 差はあるが常に一定→ゼロ点補正が必要
となります。
zwiftで少しでもいい成績を収めるには・・・
室温や締め付け具合による環境因子はゼロ点補正でリセットしましょう
個体差は校正できないので、アタリを引き当てるまで、Amazonで購入と返品を繰り返しましょう←primeの特権(ここだけの話)
サンプリングレートが高い機材を選びましょう
Bluetoothの方が精度が高い
ただし、リアルワールドでは、測定数値の誤差は無意味なんですよね。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!